第4回
トレーニングプラン


先日長野県で行われた「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」で準優勝することができました。
2006年に初めてこの大会に参加し、2007年からチャンピオンクラスに挑戦してきました。

2006年 (男子B)1位 1:04:11
2007年 14位 1:02:27
2008年 57位 1:08:07(5km地点パンク)
2009年 28位 1:02:43
2010年 10位 58:52
2011年 12位 59:22(2km地点チェーン外れ)
2012年 2位 56:23

メカトラや伸び悩んだ(怠惰な)時期を経て、たどり着いた2位でした。
今回はウィンターシーズンから本番まで、 トレーニングをどのように計画していったかを簡単に紹介します。
良かった点は、

 ・冬季の強度・時間を設定したローラートレ 
・5月上旬の山岳走り込み 
・7月の負荷と回復のリズムを重視した平日トレ、週末の山岳走り込み 
・8月中旬からの短時間高強度

が挙げられるのかと思っています。
ダラダラと書いてしまっていますので、暇つぶしに読んでもらえればと思います。
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■12月〜3月11月まではランを取り入れて、バイクでは鍛えられない箇所を強化。
そして12月から始めたのはローラーメニューです。
新潟の冬は外で走ることが難しいため、 天気に左右されないローラーによる計画を立てることにしました。
前年はモガテン(会話出来ない程度の負荷で10分)を中心に取り組んだのですが、 FTP(1時間の最高出力)を向上させるために、 今年はもう少し低い強度のモガツー(ギリギリ会話できる負荷で20分) を中心に行うこととしました。
また、脚を上げ下げる筋力アップを図るため、最初の10分はハンドルを持たない姿勢、 最後10分は下ハンを持った姿勢として、ブラケットは持たないこととしました。 この期間の後半にはモガスリーも積極的に取り入れました。
土日は、トレイルランにも取り組みました。
ローラーの場合は、ボリュームを稼ぐために2時間以上を目標として実施し、 負荷はその分だけ下げて取り組みました。
モガツーに関しては、当初290W前後であったものが、 3月には300W台に乗せらせるようになり、 モガスリーにおいても300W近い数字が出せるようになりました。

■4月、新潟でも外乗りが出来る季節となります。
ローラー上での力がそのまま実走力に繋がる訳ではありません。 固定されている自転車と、コントロールしなければならない自転車では力の使い方が異なります。
4月はローラーで養った力を実走で活かせるように変換作業が中心です。 ペダリングやフォームを意識しながら取り組みました。
ホームコースでは、インシーズン中のようなタイムがなかなか出ずに、焦りもややありました。 ただ、ツールド草津では3位入賞、全日本選手権では14/16周、221kmまで粘れたので、 力が付いていることは確認できました。

■5月(前半)、新潟市から40km程のところに弥彦山があり、 山頂まで自転車で行くことが出来ます。途中のゲートから山頂まで20分程のコース。
5月前半は、登り耐性を付けるため、徹底的に走り込みました。
タイムは気にせず、出来るだけ多くの回数を登ることに重きを置きました。
GW中は毎日4〜5回登るようにしました。

■5月(後半)、平日は、ホームコースを使ってのTT練を継続し、 この頃からようやく去年のシーズン並みのタイムが出せるようになってきました。
登りでは去年以上に早いタイムをコンスタントに出せるようになっていました。
週末は、6月の大会を意識して、タイムを狙うような走りを行いました。
また、レースの高強度に対応するため、ローラーを用いたインターバル練習を取り入れました。
2分全力、5分流す、これを5本。 トレーニング時間を確保できないような時に行うように工夫しました。

■6月Mt富士ヒルクライム、栂池ヒルクライム、内灘ロードレースと続き、シーズン前半の山です。
ヒルクライムでは共に優勝することが出来ました。

■7月毎年7月は練習を怠けてしまう傾向があります。雨、気温上昇、疲労などが原因でしょうか。
しかし、乗鞍を見据えた場合、7月はとても重要な時期です。 ここで再びベースを上げられるかが鍵となります。 今回は、負荷-回復のサイクルを重視し、平日はホームコースでのTT、 流しを交互に入れるようにし、雨の日はモガテン程度としました。
週末は、ベースアップを目標として、再び弥彦山の走り込みを行いました。 ただ、5月とはベースが異なるため、ある程度のタイム設定をして、 それを数本揃えるようなやり方としました。

■8月月末の乗鞍に向けて、体力、脚力をシャープネスしていく段階です。
短時間高強度にシフトチェンジしていきます。上旬には気温の低い志賀高原で合宿し、 10分強度の練習を反復しました。低酸素トレーニングも狙いでした。
週末の弥彦山では自己ベストタイム狙いの走りとなります。 しかし、思ったようなタイムが出ず、かなり焦ることになります。
要因は幾つかあり、決戦車にずっと乗っていなかった(感覚のズレ)、 ピチピチのレーパンを履いていた(脚が上げにくい)、 短時間高強度への移行が上手くいっていない、などが考えられました。
お盆には実家金沢の山を使っての記録会で、去年の1分落ち。現状を確認できました。
ここから残り2週間弱、練習コンセプト(短時間高強度)により近づけるため、 ホームコースでのTTをやめ、徹底的にモガテンを積み上げることにしました。 ただ夏場のローラーはボリュームが落ちるため(冷房なく長時間は出来ない)、 サイクリングをしてからローラーで10分もがく形式にしました。 常に全開で出来るように、負荷は1日おきとしました。 また2分インターバルも入れました。
乗鞍一週間前の弥彦山では去年の10秒落ち。 十分にやり遂げた感はあったので、納得の数字でした。
仕上げに低酸素室を使って体をなじませ、本番を迎えました。
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少しでも参考になる点があれば幸いです。
これから秋にかけて気持ちの良いサイクリングシーズン。 自転車を存分に楽しんでいきたいですね。



第3回
登りのための
平地練習


ツールド沖縄が終わり、2011シーズンが閉幕しました。
今年は会社行事と重なり沖縄へは行きませんでしたが、
いつかはトップ争いをしてみたいレースの1つです。

ここ新潟県も、沖縄と同様に海岸線を多くもつ県です。
お米の生産量から分かるように、平地も多い。
新潟市はその平地の中心にあるため、
平日に長い登りの練習をすることができません。
このため、登りを強くなるためには、平地での練習を工夫する必要があります。

今回は、自分なりの工夫点を紹介します。
近くに山が無い方、良かったら試してみて下さい。

(1)登りでのケイデンスを再現する
登りでは平地よりケイデンスが落ちてしまうものです。
自分の登りでのケイデンスはどれくらいか。
それを把握し、徹底的にそのケイデンスで練習する。
怪我予防のため、一定期間をかけて、 徐々にケイデンスを下げていくのが良いです。

(2)登りでのフォームを再現する
登りで常に下ハンを持つ選手は少ないでしょう。
ブラケットか、フラットな部分を持つかと思います。
そのフォームでスピード向上、目標ケイデンス維持を図る。
登りでのフォームに極力近づけ、負荷を上げていくことが重要です。

自分の場合は、写真のようなフォームで平地をもがく。

2011 乗鞍HC (信州ふぉとふぉと館)


(3)ぺダリングは踏まずに回す
比較的ケイデンスが落ちてしまう登りでは、
ぺダリング時の出力タイミング(よく時計に例えられます)を
長くとらないと失速します。
つまりケイデンスが70〜80程度だと、1時〜3時での出力では、
かなりのパワーを与えない限りスピードは維持できません。
スピードを維持するためには、極端な話、24時間営業が望ましい。
平地では通常このようなペダリングはしませんが、
登りを意識してグリグリと回す。
この継続的に筋肉に負荷を掛けることが重要です。



今回も雑誌とは対極的なご提案を差し上げました。
信じる者は…。

次回は「平地TT」について書きたいと思います。


第2回
脱 力


2011年の乗鞍が終わりました。
上位入賞、57分台を狙ったレースでしたが、 弱点とも言える機材面トラブルで残念な結果でした。
準備不足は否めませんが、 ほぼ単独走で60分を切ることができたのは成長の証でしょうか。

ところで、良く競技者の間で話題になるのがペダリング。
擦るイメージだとか、▽のイメージだとか、 様々な表現を用いて理想のペダリングを追求していますよね。 感覚は人それぞれ。 違う表現をしている人同士でも、 実は同じ動きをしている場合もあるでしょう。
同じスピードで一番らくに走れるペダリングが、 その人に最も適しているイメージなのかもしれません。

自分がそれ以上に意識していることが脱力です。
最もパワーを出すときこそ、力まず脱力することで、 長い時間で高出力を維持することが可能になります。
村山選手は、上半身の脱力について、お猪口を持つ感覚、 と例えています。
ペースを上げる、維持する、そんな時こそ力まず深呼吸。
ぜひお試しください。


5チーム合同練習会(2011.9.11)


第1回
自転車年表


競技自転車に乗り始めて、かれこれ10年。
酒に溺れ、仕事に没し、ジェットコースターのように調子が上がったり下がったり。
そんでも今年2011年、Mt.富士ヒルクライムで優勝するに至りました。
そのアウトプットとして、これまでに構築したA型的マイルールを少しずつ紹介します。

ヒルクライムを楽しむ方への一助となれば幸いです。




ヒルクライム王者
田崎友康の
自転車物語




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